中小企業向け越境EC入門

初めての越境EC:サイト公開後にやるべき「運用・改善」の基本ステップ【中小企業向け】

Tags: 越境EC, 運用, 改善, データ分析, PDCAサイクル

越境ECサイトの公開は、海外展開の第一歩に過ぎません。サイトを立ち上げた後、どのように運用し、成果を最大化していくかは、越境EC成功の鍵を握ります。この段階は、特に越境ECが初めての中小企業経営者様にとって、「何を見れば良いのか」「どう改善すれば良いのか」が分かりづらい部分かもしれません。

本記事では、越境ECサイトを公開した後に経営者として把握しておくべき運用・改善の基本的な考え方と、具体的なステップについて解説します。

越境ECにおける運用・改善の重要性

越境ECは、国内ECとは異なる市場環境、文化、競合状況の中で行われます。サイトを公開しただけで、すぐに大きな成果が出ることは稀です。公開後の運用と改善が重要な理由は以下の通りです。

運用・改善は一度行えば終わりではなく、継続的に行う「サイクル」であると理解することが重要です。

運用・改善の基本ステップ

越境ECサイト公開後の運用・改善は、一般的に以下のステップを繰り返すことで進めます。

ステップ1:現状把握(データを見る)

最初にやるべきことは、現在の状況を正確に把握することです。そのためには、サイトにアクセスした海外顧客の行動データを分析します。見るべき基本的なデータ指標には、以下のようなものがあります。

これらのデータは、Google Analyticsのような無料のアクセス解析ツールを利用することで確認できます。ツールに表示される専門用語が最初は難しく感じるかもしれませんが、「訪問者数」「どこから来たか」「どのページを見たか」「どこで離れてしまったか」「最終的に購入したか」といった基本的な項目から確認を始めてみてください。

ステップ2:課題の特定

データを見たら、そのデータから「何が課題か」を読み取ります。例えば:

データは「結果」を示しています。その結果から、「なぜそうなったのか」を推測し、改善すべき課題を特定します。

ステップ3:改善策の立案

特定された課題に対して、具体的な改善策を考えます。中小企業のリソースを考慮し、優先順位をつけ、実現可能な範囲で対策を立案することが重要です。

いきなり大きなシステム改修を考える必要はありません。まずは、サイトのテキスト修正、画像の追加、FAQページの作成など、比較的容易に着手できることから試すのも良いでしょう。

ステップ4:改善策の実施

立案した改善策を実行します。サイトの修正であれば、ECサイトの管理画面から行う場合が多いです。プロモーション施策であれば、広告運用会社に依頼したり、SNSアカウントを運用したりします。

この際、一度に多数の変更を加えるのではなく、一つまたはいくつかの施策に絞って実施することをお勧めします。そうすることで、後でその施策の効果を正確に測定しやすくなります。

ステップ5:効果測定と再評価

改善策を実施したら、再びデータを観察し、その施策がどのような影響を与えたかを測定します。「アクセス数が増えたか?」「直帰率が下がったか?」「コンバージョン率は向上したか?」などを確認します。

もし効果が見られなかった場合は、その施策は失敗だったと判断し、別の方法を考えます。効果が見られた場合は、さらにその施策を強化したり、成功要因を他の部分に応用できないかを検討します。

この「データを見る」→「課題を見つける」→「改善策を考える」→「実行する」→「効果を測る」というサイクル(PDCAサイクルと呼ばれる考え方)を継続的に回していくことが、越境ECサイトを成長させる上で非常に重要です。

中小企業が運用・改善に取り組む上でのポイント

まとめ

越境ECサイトの公開は、海外展開のスタートラインです。その後、データを活用した継続的な運用と改善を行うことが、越境ECの成功確率を高めるために不可欠となります。

まずは、Google Analyticsのようなツールで基本的なデータを見ることから始め、サイトの現状を把握してください。次に、そのデータから課題を見つけ、無理のない範囲で改善策を実行し、その効果を確認するサイクルを回していくことが重要です。

運用・改善は地道な作業ですが、海外顧客のニーズに寄り添い、サイトを育てていく過程そのものです。このプロセスを通じて、貴社の越境ECは必ず成長していくはずです。